佐野さんの疑惑


佐野研二郎さんのパクリ疑惑にともなう言説にひどく胸を痛めてる。

過去の事例とエンブレムの良し悪しはさておいて、多くの人が考える「デザイン」と、わたしが考える「デザイン」があまりに違うことを再確認してしまったからだと思う。

デザインは「無から有を生み出す行為」ではなく「既存のものを組み合わせること」。世界にはすでに、見たことのないものなど存在しない。どこかで見た「あれ」と「これ」が、組み合わせ方、タイミング、見せる相手が変われば優れたオリジナリティとなる。

デザインは「ステキな装飾」ではなく「あるべきものを、あるべき姿で、あるべき場所にそっと置くこと」。優れたデザインほど、適切に機能を兼ね、文脈に沿い、そこにあることが当然になる。大げさに言えば「透明になる」。

デザインには(誤解を恐れずに言えば)「正解」がある。もう少し正確に言うと「正解の範囲」がある。ターゲットと目的、時期や時間、地域が定まっているなら、手法も自ずと定まっていく。優れたデザイナほど精度は高い。だから当然のようにアウトプットは似る。

そこからさらに飛び出す一歩は、大抵の場合、本当に本当に本当に小さな差異でしかない。

まして、今回問題になっているのはロゴマーク。デザインに真摯に向き合う人はみんな知ってる。ロゴやマークは似るものだって。

ロゴデザインとは、団体の特徴やあるべき姿を注意深く観察し、不純物をひとつずつ取り除いて、ひたすら煮詰め、エッセンスだけをシンプルなカタチとして抽出する作業。団体の目的が同じなら、団体の頭文字が同じなら、その抽出物も似る道理。

その現象は、パクリとは根本的に異なる。あのエンブレムがパクリであるはずがない。

‪#‎RESPECTforSANO‬

※画像は東京オリンピック2020のサイトのスクリーンショットです。